Demilitarized Zone -vol.2

暖かい…。
いや、そんな筈はない。
死んでるなら感覚なんてないだろうし、生きていても地面の上の筈。
冷静に記憶を辿って、ある筈のない感覚だと結論になる。
(…綺麗な顔…)
目を開いて。
最初に目に入ったそれを見て、素直にそう…感じた。
綺麗な黒い髪。
瞳も黒いんだろうか。それとも茶色か…?
眠って、閉じられた瞳の色が気になる。
そんなことを考えていると、かくり、と目の前の頭が揺れて
ゆっくりと瞳が開けられる。
鮮やかな。夜の空の、深い青。
「…平気…?痛まない…?」
わずかに首を傾けて、静かな声。
「助けて、くれたの?」
中立地帯だからと言って、見ず知らずの人間を助けるなんて酔狂だ。
「ドクター…今いないから」
「…」
僕は答えを返せずに、見惚れていた
「応急処置だけ…。目立たない方が、良いかと思って…こんなトコで、悪い…」
「あぁ。いや、ありがとう」
笑顔で礼を言う。
「……」
そのまま、彼は何も言わずに僕をじっと見ている。
「何…?」
「あ、いや…。ん…と」
視線を逸らした。
「綺麗だなと、思って…」
僕の顔を見ていたのか…。
「男に、する…形容じゃ、ない…よな?すまない」
「いや。別に悪いことじゃないし、構わないよ」
(僕だって思ったことだ)
「あ。水、飲む…?」
思い出したように彼が訊ねる。
「あ、ああ…」
そういえば、喉が渇いている。
「ごめん。頭…降ろすけど。あ、起きられる…?」
「っ…」
「ごめん。大丈夫…?」
手を借りてゆっくりと上半身を起こす。
そうか。暖かいと思ったのは彼の体温…か。
膝の上を借りていたらしいが、痺れたりしていないのか少し心配だな。
ごそごそと荷物の中からボトルを出して僕に手渡してくれる。
「はい。ただの水、だけど…」
「ありがとう」
見たことがない、な。
黒に青…しかも、これだけ印象的な色なら目立ちそうだ。
「…?」
僕がじっと見ていたら、気がついたようだ。
「僕は、アル。名前、聞いて良い?」
「…ラファ、あ。えと…ラファ…。今、は」
今は?
「ラファ、か。改めて、ありがとう。助かったよ」
事情は聞かないで置こう。
「いや…たいしたこと、してない。本当は、中立で…あんな事…した奴、通報すれば…よかったんだろうけど」
「いいよ」
借りは、ちゃんと返しておくから。
顔は覚えてるしね。
「…アル…」
「ん?」
「立て、る…?」
「ああ。大丈夫だと思うけど」
何だろう?場所を移動しないといけないのかな…?
「じゃ、ちょっと…つきあって?」
「…?あぁ」

2010/11/23

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