Demilitarized Zone -vol.1

その日、私は確かに油断していたのだと思う。
中立地帯に外の抗争を持ち込まないのが暗黙のルールだったとしても、 自分の立場と、下手の目立つ容姿を考えれば慎重に行動するべきだった。
「ほら、金出せよ?坊ちゃん」
「…」
相手は5人。素手だけで相手をするには私にはきつい人数だ。
かと言ってここでPHYを使う訳にはいかない。
財布だけで済むなら、その方がましか…
考えて、財布を差し出す。カード類は入れていないから大丈夫だろう…
「ふん、これっぽっちかよ」
「後は自分が金になってもらうしかないかなあ」
結局、それか…。仕方がない。無茶は承知だが、やるしかない。
「それは遠慮したい」
言って私は、私の後ろで腕を押さえつけていた男に蹴りを入れる。
「こいつ!」
一斉に掛かってくる男達を遣り過ごし、殴り返す。
どうしても殴るより殴られる方が多くなる。
仕方がない。制御リングを外してPHYを使おうとしたところへ後頭部に激痛が走る。
「っ!!」
振り返り、蹴りを入れる。長いパイプが転がる。
まずい、頭…めまいがする。
私の動きが鈍ったのを幸いに、そいつらの攻撃が激しくなる。
膝を突き、うずくまる私の腹を、背中を、踏みつけるように蹴る。
(このまま、殺される…かも、な)
ふと、そう考えるくらいに攻撃が続いた。
それならそれでも、売られるよりはいいか…。
そう考えた所で、意識が遠のいてきた。
何かの音がした。
声がした。何を言ってるかは私にはわからない。
蹴りを入れていた気配が無くなった。
助かったのか、それとも…感じなくなったのかどちらだろう?
私は意識を手放した。

2010/11/22

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