「……」
確かに天気は良い。私も昼寝スポットがあると良いなとは思っていた
どうやら、ここがそうらしい。元々高台にある学園で、至る所見晴らしはいいがここもそうだ
大き目の樹のがあって丁度、目前が開けている。成程、先客がいてもおかしくないな
おかしくはないが、まだ学校も始まっていないうちにこんなところを見つけるなんてどんな子かな
ちょっと興味が沸いてきたので、私は足音を立てないように樹に近づいた
ストレートな黒髪。まあ、日本人ならば普通か。目尻が少し上がり気味かな
きつい顔立ちしてる、かな?性格もそうなのだろうか
隣に座っても気づかないなんて、随分とぐっすり寝てるんだな
…ふと、いたずら心
軽くキスしてみた
「…ん…?」
起きるかなと思ったけど、1瞬の軽いキスは覚醒まで至らなかったようだ
それじゃあ、もう少し大人のキスしようかな
「…んっ?!」
流石に舌入れたら、びくっとして瞳を開いた
(綺麗な黒曜石)
一瞬の間を置いてから、私を押し退けて彼は後ろに飛び下がった
「な…なにっ…?!」
驚くよね?もちろん
可愛いなあ、想像してたよりも黒目がちで、きついよりは可愛い感じが強い
「おはよう」
にっこり。最上級に営業用スマイルで挨拶をする
「……」
どう対処しようか、悩んでいるようだ。それはそうだよな
寝込みを襲われてキスされて、だからね。しかも男の私に
「良い場所だね?」
「え、あ…う、うん…」
素直に答えが返ってきた。噛み付いてくるかと思ったのに、予想外
少しつまらないかな。からかってみたかったんだけど
彼は居心地悪そうに視線を逸らして、立ち上がろうとした
私は咄嗟にその手を引っ張ってもう一度キスしかけていた
ばちん!
「っ…!」
「ふざけるな!」
流石に3度目は即座に反撃された
「ごめんね」
そう言って彼を見上げたけれど、至って冷静な表情
怒ってるとか、泣いてるとか、混乱してるとか、そんな感じがなくて私の方が驚いた
「…謝るくらいなら、しないでください」
そう言うと、落とした本を拾って、走っていってしまった
寧ろ、何だろう。傷ついた、という感じだろうか?
感情を凄く抑えてる感じ…?
「笑ってるのと泣いてるの、見てみたいな」
また悪い癖が出そうだと、我ながら苦笑してしまう
幸い、顔の覚えは良い方だ。後で学生データで調べてみよう
仕事の出来る子なら幸いだし、出来ない子なら出来ない子なりに教えてやればいい
…ホントに何も出来ないのは困るけど、多分そんなことはないとは思うし
「3年間楽しくできそうかな」
彼には悪いけど…ね
「アーニィ、何か凄く機嫌いいね」
「そうかな?」
「散歩でなにかいいことあった?」
「さあ、どうかな?」
「そういう顔してるときは、絶対良くないこと考えてるよね」
はーっと大げさに淋が溜息をつく
「失礼だな。真剣に、淋以外に友達作ることを考えてるところなのに」
「…友達?ホントに?」
流石に付き合いが長いだけあって鋭いな
「さあ、どうかな?」
「同情しちゃうよ、相手の人に」
「どういう意味かな?淋」
「…だって、アーネストは優しそうに見えて、
すっごくSだもん」
「お互い様だろう?」
「僕はSじゃないよ。好きな人には
劇甘だよ。当然でしょ」
それがやりすぎなんだよな、お前の場合
「とりあえずお互いにお互いの好み外しててよかっただろ」
「うん、本当にそう思うよ!」
…力一杯肯定したな…
確かに、お互いの本性を知っていて、付き合える友達がいるのは有り難いとは思う
「予想するに、その気に行った子を生徒会に入れちゃうんでしょ?アーニィ」
「そのつもりだ」
「判ったー。説得は任せるからね」
「もちろんだ」
翌日
学習室のPCで学生データを検索した
すぐに彼を見つけた
「桂木 杳…か。あれ…?」
私と同じ玄武寮で、しかも隣の部屋じゃないか
これはかなり好都合、なんじゃないかな
まずはご挨拶に行ってみるとするか
2009.11.17
*** comment ***
予想外にアーネストの性格が曲がっていきました
しかもS属性に…
…初対面で襲うなんてことなかったはずなんですけどね…どうしてこんな子に〜
書き溜めてたノートの方はそうじゃなかった筈なのに(<行方不明中につき)
かむばっくマイノートT-T
でも書き出してしまったからにはこれが固定性格にきっと…
ターゲットの杳がどうなることか…はその時次第です