少しして、腕の中から静かな寝息が聞こえてくる。 会ったのは、昨日なのに。 ラファと一緒にいると、穏やかな気持ちになれる。 (時々、どきどきするけどそれは別な理由) 話をする訳じゃなくて、ただ2人で居るだけでもいいと思える。 どうしてだろう? ラファに邪気みたいなものが、ないから? 1日で判る訳じゃないとは思う。 だけど、きっとラファは変わらない気がする。 彼の『南』での生活が少し、いやかなり、気になる。 多分彼は幹部達の間で欲望の捌け口なんだろうと予想できる。 今のミカエルは、酷くサディスティックで神経質だと聞く。 どんな風に、扱われているんだろう? そうして扱われることが普通になる位にされてる? 話をする相手もいないくらいに孤独で? そんなの、普通じゃないよ?ラファ。 中立地帯で当てもなく歩き回って、綺麗な景色を見て。 自分で自分を癒してまた、そんなところに戻るの? ミカエルのことが好きなのか? それとも誰か他に好きな人がいるから? ラファエルのことは『北』の情報でも男で青い瞳だということしか判らなかった。 それくらい情報がない位に、表には出てこない。 前線には来ないからと言えばそれまでだけれど… ラファは綺麗だ。 姿の造形もそうだけれど、何かわからないけれどそう感じる。 綺麗な肌。触れていて気持ちがいい。 柔らかな香り。 感触も香りも女性の柔らかさとは違うけれど。 汚い、なんて…束縛するための言葉だと思う。 素直に、受け取ってしまうから。きっとそれで閉じ込められてるんじゃないだろうか? 綺麗だから、逃がしたくないから…。 どんな風に…抱かれているの?ラファ。 ミカエルだけじゃなく、たくさんの相手に。 どんな声を聞かせてるの? 泣いて、鳴いて、啼いて… 泣かせたい、と思うのは少し…判る気がする自分が怖い…かな。 綺麗な青に浮かぶ涙はきっと、綺麗だ。 あの穏やかな青が欲望に堕ちたら…どんな風になるんだろう? 泣いて、求めて、懇願して、堕ちていくのは… そんな風に…されてるの?ラファ。 「ん…」 思わず、力を入れてしまったからか、ラファが身じろぎする。 「ごめん、ラファ」 耳元に小さく謝る。 「うん…。大丈夫…?アル」 半分眠ったままで、ラファが言う。 「大丈夫だよ。おやすみ…」 「ん…」 またすうっと、目を閉じてしまう。 そんなに、安心して眠っていいの?ラファ。 僕だって男で、危険なのに…? …危険って、僕は何を考えてるんだ。 判ってる筈じゃないか。感情がなかったら抱いたって、寒いまま。 ラファだって、判ってるだろう。 そんな気持ちをさせたい訳じゃないだろう…? 一緒に居ることで落ち着ける…。 そんな相手に冷たい気持ちを抱かせたくはない… こうして 抱きしめているだけでも暖かい それでいい。今は… (僕も眠ろう…。明日も、まだ一緒にいられる筈だから…) 2010/11/23
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