Demilitarized Zone -vol.5

少しして、腕の中から静かな寝息が聞こえてくる。
会ったのは、昨日なのに。
ラファと一緒にいると、穏やかな気持ちになれる。
(時々、どきどきするけどそれは別な理由)
話をする訳じゃなくて、ただ2人で居るだけでもいいと思える。
どうしてだろう?
ラファに邪気みたいなものが、ないから?
1日で判る訳じゃないとは思う。
だけど、きっとラファは変わらない気がする。
彼の『南』での生活が少し、いやかなり、気になる。
多分彼は幹部達の間で欲望の捌け口なんだろうと予想できる。
今のミカエルは、酷くサディスティックで神経質だと聞く。
どんな風に、扱われているんだろう?
そうして扱われることが普通になる位にされてる?
話をする相手もいないくらいに孤独で?
そんなの、普通じゃないよ?ラファ。
中立地帯で当てもなく歩き回って、綺麗な景色を見て。
自分で自分を癒してまた、そんなところに戻るの?
ミカエルのことが好きなのか?
それとも誰か他に好きな人がいるから?
ラファエルのことは『北』の情報でも男で青い瞳だということしか判らなかった。
それくらい情報がない位に、表には出てこない。
前線には来ないからと言えばそれまでだけれど…
ラファは綺麗だ。
姿の造形もそうだけれど、何かわからないけれどそう感じる。
綺麗な肌。触れていて気持ちがいい。
柔らかな香り。
感触も香りも女性の柔らかさとは違うけれど。
汚い、なんて…束縛するための言葉だと思う。
素直に、受け取ってしまうから。きっとそれで閉じ込められてるんじゃないだろうか?
綺麗だから、逃がしたくないから…。
どんな風に…抱かれているの?ラファ。
ミカエルだけじゃなく、たくさんの相手に。
どんな声を聞かせてるの?
泣いて、鳴いて、啼いて…
泣かせたい、と思うのは少し…判る気がする自分が怖い…かな。
綺麗な青に浮かぶ涙はきっと、綺麗だ。
あの穏やかな青が欲望に堕ちたら…どんな風になるんだろう?
泣いて、求めて、懇願して、堕ちていくのは…
そんな風に…されてるの?ラファ。
「ん…」
思わず、力を入れてしまったからか、ラファが身じろぎする。
「ごめん、ラファ」
耳元に小さく謝る。
「うん…。大丈夫…?アル」
半分眠ったままで、ラファが言う。
「大丈夫だよ。おやすみ…」
「ん…」
またすうっと、目を閉じてしまう。
そんなに、安心して眠っていいの?ラファ。
僕だって男で、危険なのに…?
…危険って、僕は何を考えてるんだ。
判ってる筈じゃないか。感情がなかったら抱いたって、寒いまま。
ラファだって、判ってるだろう。
そんな気持ちをさせたい訳じゃないだろう…?
一緒に居ることで落ち着ける…。
そんな相手に冷たい気持ちを抱かせたくはない…
こうして
抱きしめているだけでも暖かい
それでいい。今は…
(僕も眠ろう…。明日も、まだ一緒にいられる筈だから…)

2010/11/23

HOME |  TOP |  BACK |  NEXT

楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] ECナビでポインと Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!


無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 解約手数料0円【あしたでんき】 海外旅行保険が無料! 海外ホテル