邂逅-月- 4

その日は、王弟殿下主催の武芸大会だった。
久しぶりに王都に騎士団の名だたる騎士が揃い、俺の同期の連中も王都に揃っていた。
「相変わらず美人だねー。ヒューイ」
「相変わらずお前は目が悪い」
第一騎士団配属の友人は相変わらずだった。
「小隊長おめでとうさん」
「ああ。ありがとう」
「でも、何で第二なのさ?」
「今からでも第一来いよ」
「いや、性に合ってるからいい」
俺は長子ではないから関係はないが、家自体は爵位を持つ家柄だ。
故に、幼馴染や同期の仲のいい者は貴族階級が多いのだが…
「そういえば、今年の新米一の美人さんお前のとこなんだって?」
「え。あの金髪の子だろ?いいなー」
「知ってるのか?」
「うん。僕は今年、訓練生の指南役したからね」
「いいなって、そんなに腕が立つのか?」
「ああ。実務も庶務もどちらも出来る」
「んー、そっちもだけどさ」
「何?」
「アレだけ色気のある子だから、食べちゃった?」
「…は?」
「マジかよ?ヒューイ」
「食ってない」
何を言わせるんだこいつらは…。
「えー。勿体無い」
「色気があるって、何歳なんだよ?」
「んー。確か15だったかな。綺麗な子でね、凄く色っぽいっていうか艶っぽい笑顔なんだよね」
「男だろ?」
「おい、お前達…」
「あの子に関しては関係ないかなーって思っちゃったんだよね」
「嘘だろ。お前が?」
「ああ、判るかも。人懐っこい子だったな」
「ちょっと泣かせてみたいなーって思ったんだよねー」
「ぶっ」
「ちょ、汚いよ」
「お前の口からそんなことを聞くとは…」
お前達…貴族のご子息様とは思えない会話する気か…。
「えー、だって凄くギャップのある子だよね?ヒューイ」
「何で俺に聞く」
「上司でしょ」
「人懐っこいのは認めるが。普通だぞ」
「「嘘」だろ?」
なんだよ、その反論は…
「え、あの子笑ったの見たことない?そんなはずないよね?」
「ディアス隊長は事情わかった上で入れたって言ってたぞ」
「…。確かに見てるけどな」
「それでなんとも思わない訳?」
「無意識なんだから仕方ないだろう。こっちが判ってればすむことだ」
「それさ、お前はいいけど他の奴は大丈夫なのか?」
「2ヶ月になるが、至って普通だが…」
「んー。限界超えそうな気がする」
何の限界だ…。
「あれ?お前のとこの奴じゃないか?ヒューイ」
指された先に居たのは、確かに俺の小隊の奴だった。
そして、問題が起きたことを告げられた。
「悪い。先に」
「問題?」
「…お前達の言ったとおりだよ」
「え?」
「エドウィンが連れて行かれたらしい」
「「「えーっ」」」
「じゃあな」
「大丈夫?」
「誰に言っている?」
友人達を置いて、俺は教えられた場所へ向けて走り出す。


全く。面倒をかけやがる。
子供が自分を誘ってると思う方が間違ってるだろう。
…あいつが、自覚のないのも問題ではあるか。
いや、自覚がないのを知っていて…放置しておいた俺も悪い。
最近は素直に感情を出すようになっていたからな。
俺以外にも、あいつのあの笑顔を向けられた奴がいるはずだ。
嬉しくはないが。

…ん?
俺は今、なんて思った?
あいつの、あの顔を…
俺以外に見た奴が居るのを嬉しくない、と思った…よな。
いつ出るか判らんあの笑顔だ。普通に誰と話していてでても可笑しくない。
だから、だれが見ていてもおかしいことはない。
…そうなんだが。
あれが危険なのだから、どうにかしてやらないといけないんだよな。
俺に見せるなら構わない。無意識なのは判ってる。
誤解するような奴に見せないようにしてやればいい。
俺になら、見せてもいい。どんな顔でも。
考えれば考えるほど、どうもおかしい方向になる気がする。
まずはあいつを助けよう。
2010/10/31

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